2007-06-26
月1日から東海道・山陽新幹線に導入される新型車両N700系は、普通車の窓側と通路側計4席の座席の幅が従来の車両より広くなる。その差わずか1センチ。だが、車体幅が狭くなる中、快適性を向上させた座席には技術と苦心が詰まる。一方、3列席の中央に位置し、実は他の座席より3センチ幅が広い「B席」はこれまで通りだ。景色を楽しめる窓側、移動しやすい通路側、少しだけ広い中央席――。さて、あなたはどの席を選ぶ? 6月中旬にあったN700系新幹線の試乗会。新しい座席は参加した親子らにも好評だった 東海道新幹線の普通車の座席幅は、92年に300系が登場するまで5席とも43センチで同一だった。300系では3列席中央のB席だけが3センチ広げられた。JR東海は「窮屈感があるだろうと、サービス向上の一環だった」と説明する。 詳細なデータがあるわけではないが、「B席はできれば避けたい」と考える乗客が多いと見られている。同社が座席を指定する場合も、希望がなければ窓側、通路側の順に座席を埋め、B席は最後となる。 99年登場の700系でも座席幅は変わらず、N700系でB席以外は初めて見直された。「技術の向上でコンパクトな設計が可能になり、さらなるサービス向上を目指した。かなり頑張ってギリギリまで詰めた」と、新幹線鉄道事業本部車両部の鳥居昭彦・車両課担当課長は話す。 そもそも車体幅は700系よりも2センチ狭い。その中で、座席数を保ったまま4席を1センチずつ広げるのは並大抵ではなかった。車体そのものや内装のすき間を詰めるだけ詰める。窓下の壁面をえぐり、ひじ掛けや座席を支える枠の角を削った。ただ削るのではなく、強度は保ちながらの改良作業だった。
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